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●「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 リリー・フランキー

今、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を読み終わった。

読書が決して得意とはいえないわたしなので、読み始めは一字一字たどたどしく追いながら、
あれ?と思うとページを戻しながら、カメのようなペースでこの本の中に入っていった。

それが、とちゅうから、次々にページをめくらずにはいられなくなっていて、
驚いたことに電車の中はもちろん、駅から家に帰る10分の間も惜しくて、
街頭の光で二宮金次郎状態になりながら家にたどり着き、
気がついたら読みながらアハッと笑ったり、
最後には嗚咽するほど涙したりして、
すっかりこの本の世界にはまってしまった形になって、今読み終わった。
久しぶりに、ダーダー泣いた。

リリーさんのオカンは料理の上手な人だったけれど、
うちのおかーさんはどうだろう。
昔、ハンバーグの付け合せに緑のものが何もないからと、
スライスしたキウイが焼かれて出てきて、食卓のイスからずり落ちたことがある。
そんなおかーさんだけど、
娘に一膳分だけ残っているお釜のあったかいご飯を食べさせ、
おかーさんの分は?と聞くとわたしはこれでいいのと昨日の冷や飯をおいしそうに食べたり、
娘の洋服やバッグは値が張るものでも「いいわよ」と言って買ってくれて、
自分は1000円のバッグを「安かったの」とうれしそうに使っていたり、
そういう姿はリリーさんのオカンとまるっきりおんなじだ。

ううん言いたいのはそういう物質的なことじゃなくて。
久しぶりにおかーさんに会うと、歳取ったなぁ、こんなに小さな線の細い人だったっけ?
と胸が少し痛くなる。
おかーさんの人生。おかーさんは自分の人生をどう思ってるんだろう。
母親の人生が大きくなった子供から見て小さく見えてしまうのは、
子供に自分の人生を切り分けてくれたから。身を削って育ててくれたから。

おんなじだ。

最近うちのおかーさんがこのブログを読んでいるらしい。
元気?なかなかそっちに行けなくてごめんね。

この本に出てくる、窓から東京タワーの見える赤羽橋の病院。
わたしが生まれた病院だ。
そこから10分ほど歩いたところに、うちのおかーさんの実家がある。
そしてそこには、わたしのおばあちゃんが、寝たきりで毎日の流れる時間を過ごしている。
もうわたしのこともおかーさんのこともわからなくなってしまったおばあちゃん。
行ってもその目は、
昔わたしが三田に通っていた頃、
学校から西麻布のダンススタジオに移動する途中で寄ると必ず早めの夕飯を出してくれて、
「がんばっていってらっしゃいよ」と送り出してくれた頃の目とは、まるっきりちがう。
この前会いに行ったのはいつだっただろう?
思い出せないくらい行ってない。
関東大震災も太平洋戦争も生き抜いてきた明治生まれのおばあちゃんは、
背筋もしゃんとしてとても80代には見えないほど元気だったのに、
自分の家の中で転んで骨折し、東京タワーの見える病院で手術してから一気に小さくなり、
とうとう寝たきりになってしまった。
会いに行かなくては。

おかーさんと一緒に行こうかな。



by garanlin | 2005-09-30 04:27 | 観たもの聴いたもの

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